赤岩の忍たま視聴備忘録

忍たま視聴メモと幾つかの覚書

悪役としての八方斎

忍たま乱太郎、26期が始まりました。
オープニングの最初に出てくる焙烙火矢から「25」の数字が無くなったところに少し寂しさも感じますが、また新しい忍たまの話が紡がれていく楽しみを噛みしめる日々が続きそうです。

 

さて、初回から八方斎がメタフィクションな発言をしておりました。

 

「そもそもこのワシ、稗田八方斎は、悪役なのだ」
「ところが最近、むかしより性格が良くなったって言われるんだ、視聴者の皆様に」
「そこでワシはな、悪役の原点に戻らなきゃいけないと反省したのだ」

 

フレッシュな気持ちで臨む第1回とはおもえない「大人の事情」な内容でした。

 

 

思えば稗田八方斎率いるドクタケ忍者隊は、忍術学園と敵対する勢力として描かれていたはずです。
しかしオニタケやホウキタケ、タソガレドキなど次々に新しい城とそれに属するプロ忍者が現れると、相対的に露出度が下がりました。
撮れ高が減った分強い印象を残したかったのか、ドクタケ忍者はよりコミカルに、よりシュールに描かれることが増えたように思います。

 

「乱太郎たちに立ちはだかる敵」だったドクタケと稗田八方斎は、
年月を経て「困りものだけどちょっとほっとけないやつ」に変わりました。

 

さらに八方斎の場合、ドクタケ忍術教室の存在も大きいと思います。
校長先生としてドクたまの前に立つ姿は威厳よりもフランクさが見え隠れして、どこか親戚のおじさんのよう。新年にはお年玉をあげていそうな出で立ちです。
ただでさえ角が取れた印象になったのに、より柔和になったように見えます。

 

悪役が長年登場すると性格が丸くなる。
この傾向は他のアニメ漫画にも言えるかもしれません。
私は少年漫画に疎いので例を上げることが出来ないのですが、
とくに敵キャラが次々に新しく現れ、撮れ高競争や戦闘力のインフレになりやすい、バトル物の作品に現れやすいように思います。

 

そこで「原点に戻る」の発言。八方斎も現状への危惧を抱いていたのでしょう。
しかし考えた末に取り掛かったのは「通せんぼ」。
忍者候補生たる忍たまの登校を妨害するという意味ではある意味正解ですが、どこか幼い印象。
本人も近いことを言っていますが、まるでクラスの女子にちょっかいを出す悪ガキのようです。忍者隊首領の行動としては斜め上に言ってしまったような気がします。

 

ただ、この「斜め上」が忍たまにとっては重要な要素のはずです。
もともと原作者の尼子騒兵衛先生は「プロ野球珍プレー好プレーのように、真面目に取り組んでいるのにだんだんずれていくおかしな様子を描きたい」といったコメントをしています。

 

原点回帰、原理主義に走っても、そのワルの路はどこかねじ曲がっていて集団迷走。
次々に現れるプロ忍者を横目に、生活感のある存在感でアピール。

 

「初期の敵」稗田八方斎は、そのような宿命のキャラなのかもしれません。